「売上金額は現在の繁栄度、売上台数は将来の動向予測」
家電業界は国内のみで約7兆円(小売規模=当社推定)と巨大なマーケットを誇っています。しかしながら製造段階ではメーカー数が少なく、また小売段階でも上位寡占化が極端に進んでいることが特徴といえます。同時に取扱い商品の普及率が高く買替え需要中心で低成長業界ともいえます。とはいえ昨年1年間の国内出荷台数で伸長したのは1商品のみだったことは業界人にとってはまさに「激震」だったようです。
家電品と一口にいっても品種数が多く、メーカーで組織される工業会はいくつかに分かれています。その中でテレビ、DVDといった民生用電子機器のJEITA(電子情報技術産業協会)、冷蔵庫、洗濯機など民生用電気機器などのJEMA(日本電機工業会)、さらに日本冷凍空調工業会(エアコンなど)があり、それぞれが月別別の国内出荷台数をまとめています。1月の出荷実績の発表で2023年1年間の主要家電品の出荷台数・金額実績が明らかになりました。これまでも年により商品により「伸びた商品」と「減少した商品」はありましたが、台数面で「伸びた商品」が1商品のみという年はありませんでした。しかもそれは低単価のヘアドライヤー1商品だったのです。
台数に対して出荷金額の方は前年比で伸長した金額はありましたが、これは価格改定(値上げ)効果によるものの、それでも電子機器、電気機器の合計では前年実績に達しませんでした。
これらの数値は家電業界にとっては深刻な問題で「売上金額は現在の繁栄度、売上台数(個数)は将来の動向(予測)」とするなら、家電業界は厳しいと見ることができます。人口減から世帯数の減少が待ち受けています。いまはその前段階の人口は減少しながらも世帯数は増加ながらも世帯人員は減少の状態にあり、空き部屋増加に直面しています。部屋別に設置されるテレビやエアコンといった高価格商品の需要減に直面することも危惧されます。しかも当面成長が期待される商品が見当たらないだけに「(小売りの)価格指定商品」の発売に関わらず過当競争、乱売の再燃も懸念されます。