2023年6月の重点活動 さあ夏商戦本番、顧客接点の倍増の実現を!!
猛暑の日、そして3月のような寒い日、日本列島の5月は天候不順・不安定な1ヶ月でした。このような天候に左右されたかのように商売の方も充実感が欠けた状態が続いています。今月から8月中旬までの2ヶ月半が夏商戦本番です。従来の地域家電店は「充実感が欠如」の後は挽回の機運が高まるはずなのに、最近は逆傾向になっているように懸念されます。今年の夏商戦こそ「反転攻勢の夏」を目指して「顧客接点の倍増」を合言葉に活動を強化したいものです。
つい先日、関係工業会(メーカー団体)から4月の家電品の国内出荷が発表されました。それと相前後して3月決算の家電量販店の業績、そして経産省から家電量販店の「商品販売額」の実績統計(経産省「小動態統計」)も明らかになりました。
4月の家電品の国内出荷の詳細は省略しますが、大型家電品(「主力4商品」)の中で台数・金額の両方で前年実績をクリアできたのは洗濯機のみ。需要期に突入したエアコンは台数で84.1%、金額で88.6%と前年同月比で10%以上のマイナス、そして冷蔵庫に至っては台数で83.6%とエアコンと同傾向だったものの、金額に目を転じると79.1%と台数以上のマイナスに終わっています。この2数値からいえることは単価ダウンで、昨年来の価格改定(=値上げ)効果が早くも消滅したということです。
◆値上げ効果が消滅しつつある
8月決算のビックカメラ、非上場のヨドバシカメラを除く家電量販店の業績(3月決算)を見るとヤマダ電機(ヤマダHD)など売上高上位5社のうち3社が減収(微減)、1社が増収(微増)、そしてノジマのみが家電以外の要素を含めて2ケタの増収を実現しています。量販店全体では前々期(2022年3月期決算)もコロナ禍の影響を受けての業績不振で、前期中では業績の回復には至らなかったことになります。
集計方法が異なるために単純比較はできないものの経産省「商業動態統計」(3月決算の量販店と計算期間が一致)での家電量販店の2022年度の年間「商品別販売額」を見ると総額では0.2%の微減、低下が明確になったのはAV家電、その中でもビジュアル家電です。とはいえ価格改定(値上げ)効果で販売額は増進するはずの昨年10~12月あるいは今年1~3月以降でも販売額が減少しているのは気になるところです。
はっきりいうと家電量販店でも価格改定(=値上げ)による売上高の押上げ効果がここにきて消滅、多少の単価アップも台数減少で帳消しになりつつあるということです。
◆Lineの「友だち」登録客には‥
今月から夏商戦の本番に突入する訳ですが、気象庁の3ヶ月予報では全国的にはほぼ「暑い夏」ということです。「エアコン商戦もここまでくれば天候次第」という面も否定はできないものの近年の教訓からいえることは「冷夏では売れない」、これば事実です。ところがこの逆、「暑くなれば(より多くの台数が)売れる」ということではないようです。たとえ暑くなっても「活動以上には売れない」ということです。これは夏商戦だけのことではなくなっています。
地域家電店は「固定客商法」を展開しており、お客様からの要望に真面目に対応していれば「客数に応じた売上高」が確保できたものです。いわばベーシックな「自然売上」の上に「活動売上」が上乗せされる業績構造でした。その「自然売上」が低下しているのが昨今の地域家電店を取り巻く環境になっているのです。
前掲の通り価格改定の効果で今年の年始までは「販売台数は多少減少しているが金額では伸びている」状態だったが、昨今は台数減少が単価上昇を帳消しになりつつあるのが実態です。その背景にあるのは市場環境の変化です。
国内の人口は着実に減少しています。それとは逆行するように世帯数は伸び続けています。単純計算すると世帯当たりの家族数が減っていることを意味します。同時に高齢者の間では単身世帯が増えています。これが今日の家電品の出荷台数の減少の遠因になっていると見ることもできます。
夏商戦です。当然主力商品はエアコンと冷蔵庫の2商品です。まずこれら2商品の販売活動を強化します。すでに実施しているとは思いますが、これからの2ヶ月半の間にこれら2商品を買っていただきたいお客様を再確認し、今月中にこれらのお客様全てへのエアコン、冷蔵庫のアプローチ策を決めます。
全客への提案訪問が理想ですが、多分ムリなお店が多いはずです。購入の可能性が高いお客様は訪問、その他のお客様はダイレクトメールを発送します。ここで注意したいのはすでにLineで「友だち」登録したお客様にはLineでの提案を行うことでコストダウンと時間節約を図ることです。メールの中身は売込みより提案を中心にすることです。提案内容は先月のこの欄で記したことを参考にします。
◆繁忙期だから「ついで提案」と「同時提案」を‥
エアコンと冷蔵庫のみへの販促活動では昨年の売上高をキープできない可能性があります。月ごとのエアコン、冷蔵庫以外に重点提案商品を選択・推進する方法がひとつです。これとは別にお客様ごとに顧客情報に基づいて商品を決めての提案があります。いずれにしてもターゲットを絞っての提案訪問はエアコンと冷蔵庫で手一杯のはず。繁忙期ですから「ついで提案」と「同時提案」を心がけます。
「ついで提案」は他の用件で訪問する機会を利用します。発生処理業務を含めて全顧客接点で必ず実施することが必要です。「同時提案」は他の商品の提案時に別商品も合せてお勧めすることです。
商品単価アップによる売上高の増進は期待できない環境になりつつあります。同時に顧客数に限界がある地域家電店、活動の質の向上、量の拡大こそが勝利の道であることを再認識して夏商戦本番を勝ち抜いていただきたいと考えます。
㈱コミュニティ・アドバンテージ 代表 妻木 潔