「自律経営」を目指して「繁栄のピラミッドの構築」を‥
第Ⅳ章 繁栄のピラミッドの構築①
かつては系列店と呼ばれ家電品流通の主役だった地域店(地域家電店)。次々と発売される大型商品とその急速な普及で売上高は拡大しました。そして多くの地域店がこの第一次成長期(詳細は第Ⅰ章参照)の旺盛な需要を謳歌している間に、その顧客を奪い地域店以上に売上高を伸ばし、シェアを獲得したのが新たに誕生した家電量販店でした。その背景には日本経済の高度成長による所得=購買力の向上、若かった人口構成があったことも指摘できます。量販店は積極的な大型店舗の出店=豊富な品揃え、熾烈な価格競争を展開、多くの著名量販店が退場を余儀なくされたのも事実です。同時に量販店間の競争のあおりで経営難に陥る地域店、さらに後継者難から廃業を余儀なくされる地域店が続出しました。成長期でありながら地域店の店数は次第に減少しました。
いま、日本社会はかつて経験しなかった超高齢化社会の真っただ中にいます。地域店のキメ細かなサービスを必要とする高齢者の絶対数と構成比が上昇し、「買物難民」が社会問題となり、家電品購入・サービスでは「家電弱者」が増加しています。地域店の社会的価値が再評価される時代に突入しつつあるといっても過言ではありません。増える高齢者数と高まる構成比、廃業する地域店数の増加とその顧客、そして年々増加する高齢者、「その面倒を誰が見るか?」が問題になります。
廃業を余儀なくされている地域店店主は「安心して(自店客を)任せられる同業店」を求め、営業を継続する地域店は「お客様を継承することを望む」、とはいっても現実は円滑に進んでいるとはいいがたいのが実態です。それは地域店全体での売上高の低下(=顧客数の減少)が示しています。
いま若い地域店経営者は時代の要請に応え廃業店の顧客の「受け皿」になるためには、相応の力量が求められます。それには真の意味での「計画経営」による「自立経営」=「自律経営」に徹し、その結果として「受け皿」になる力量を蓄積することです。この章ではその体系を「繁栄のピラミッド」と呼びます。若い地域店経営者=後継者は自社経営でこのピラミッドを構築し、「受け皿」となるための力量の蓄積を進めたいものです。時代は地域店の第二次成長期なのです。
(次回へ続く)