まとめ「廃業店の顧客が次に選ぶ電気店は‥」
超高齢化社会の到来を評して数年前に「地域店の時代の到来」といわれたものです。ところが地域店(チャネル)全体の店数は減り、それとともに売上高の低下が続いています。廃業店が保有していた離反客を他の地域店が吸引できていない結果といえます。また後継者が継承した地域店を含めての営業継続店の中にも顧客数が減少している店もあります。それらの減少数を全地域店でカバーできなければこのチャネル全体では顧客数の減少は避けられません。
「私の代で店は閉める」と“覚悟”している地域店店主も土壇場(どたんば)まで営業を続行しています。「閉店の意思表示をするとその日から家電品を購入しなくなるから‥」という理由でお客様に知らせるのは廃業直前。「長年のご愛顧を‥」で始まる挨拶状に「これからの修理などお困りのことは××電気が責任を持って‥」の文書1枚で営業を終了します。紹介されたお客様の何割を他の地域店が継承できるのでしょうか?。
当社(C&A社)が継続的に地域の電気店を利用している消費者(固定客)を対象(主として高齢者)にWeb調査を実施したことがあります。その調査では注目すべき結果が出ました。
まず「地域店を継続利用する理由は?」の設問(複数回答)での地域店選択の上位2理由は「近くにあるから」「顔見知りだから」です。当然の結果といえますが、考えさせられたのは次の設問、「仮に現在の取引先が廃業した時は、その後はどこから?」への回答です。圧倒的に多かったのは「家電量販店」でした。よく考えてみると当然です。継続的に利用してきた地域店以外に「近くにあるから」は該当店があったにしても「顔見知りだから」の条件には合致いないケースが多いということです。どうせ二つの条件が満たされないなら「家電量販店」を選択するのも仕方ない(当然)といえます。家電量販店も「近くにある」ことは事実で、そして量販店も近くの地域店も顔見知りではないことでは同じなのです。「新規客にとって敷居が高い」のが地域店、用件がない人は「入りにくい」のが地域店の店舗です。高齢者が地域店を選ぶというのは幻想なのです。
(第1部 了)