昭和40年代は地域店の第一次成長期だった

いまが地域店の第二次成長期としたら「第一次成長期はいつだったのか?」。この設問への回答は「1965年以降の10年間(昭和40年代)のカラーテレビの普及期」です。その前1952年(昭和27年)にテレビ放送の開始され、家電業界は白黒テレビで活況を呈しました。1964年(昭和39年)の第1回東京オリンピックを契機に関心が高まったカラーテレビは白黒テレビを超越する業界の超目玉商品に成長しました。それ以来、「メインテレビ(リビングのテレビ)を買っていただいたお客様こそ固定客」とも表現されるようになったものです。

白黒テレビの時は「種の神器」としてテレビとともに洗濯機、冷蔵庫がクローズアップされました。そしてカラーテレビは自家用車(Car)とクーラー(Cooler、エアコン)を加え「3C」と呼ばれ、それら3商品が豊かさの象徴とされました。カラーテレビは、特に普及初期は高額商品で販売手法は貸出し訪問やテレビに的を絞った展示会、支払い方法は月賦販売で電気店の売上増進に大きく貢献しました。当時の耐久消費財の普及率の推移は図Ⅰ-7(内閣府「消費動向調査」)の通りです。すでに普及率が100%近くにまで達していた白黒テレビは次第に衰退、代わってカラーテレビが急上昇、家庭内での映像機器の主役交代が進みました。同時に昭和30年代には普及期に入っていた白物家電(生活家電)もこの時期には電気店の売上の後押しをしました。

昭和40年代中頃には業界関係者からは「いまの時代、二けたの売上伸長は当然。カラーテレビの取組み次第で40%の伸長も可能」といった声も聞かれました。また電気店店主の会合では(カラー)テレビ販売の利益で店舗の新築やアパートの購入の話で盛り上がったものです。

図Ⅰ-7 大型・中型家電品が大きく伸びた第一次成長期

 

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