粗利益率の向上、経費の圧縮で分岐点売上高を‥

第Ⅳ章 繁栄のピラミッドの構築⑭
《「長期戦略」から「長期計画」の立案へ》

「可能売上高」と「必要売上高」、「(長期)経営計画」の売上高ではこのふたつの売上高の調整が必要になります。売上高の算出で「可能売上高>必要売上高」になれば「可能売上高」がその年度の売上高目標になりますが、反対のケースが少なくないのも事実です。この時、必要売上高を下げることも考慮する必要があります。

「必要売上高」を下げる方法は‥
・(予定)経費の見直しを行い、その総額を圧縮する
・(想定)粗利益率を上げる
‥にふたつの方法があります。

地域店(地域家電店)は人件費の構成比が高い経費構造(労働分配率が60%~65%)です。経費の圧縮は人件費に手をつけるか、販売費の増加抑制を図ることくらいしか方法はありません。しかし、人件費の圧縮は事実上は困難、販売費の節減を選ぶと縮小均衡経営に陥る危険性が高まります。特に事業方針の推進に伴って発生(増加)する経費は絶対に削減することは回避します。

現状により異なりますが、実際には粗利益率を上げる方が現実的です。商品の売買差益の向上がひとつの方法です。最近「商品の売価設定を見直した」という地域店が多くなっています。「地域店のお客様は値段が高いことを理解したうえで(地域店を)選んでいる」のがその道を選択した理由です。売買差益の向上には仕入れ価格の低下努力も必要です。

もうひとつの方法が原価率が低く粗利益率が高いソフト業務の売上構成比の向上(粗利ミックス)です。「お客様の困りごと解決チラシ」での依頼事項は修理・軽工事が多く、それが粗利益率向上に果たしている面も大きいようです。このソフト業務ですが、これまで修理・軽工事が主であったものを原価率ゼロの国や自治体の推進奨励金(仮称)、CATV契約代行手数料、電力会社・ガス会社等からの紹介手数料等で粗利益を稼いでいる地域店もあります。

経費の節減を進めつつ粗利益率の向上、この両者を同時推進することで分岐点売上高を下げることを模索することも大切です。

この第Ⅳ章では「繁栄のピラミッドの構築」を検討してきました。残りは年度計画ですが、多くの地域店ではすでに立案し、その手法を熟知していることから本講座では省略します。

(第4章 了)