組織運営のための各種システムをも継承する

組織は規模の大小にかかわらず数多くのシステムによって運営されています。それは創業の経営者が外部から導入あるいは自ら創り上げ、さらにブラッシュアップしてきたものです。システムは時代の変化と自店の実態に合せての改革・革新は必要ですが、これらを含めて組織運営のノウハウとして継承することになります。

各種のシステムの中で小売店にとってもっとも大切なものは営業活動システムです。顧客訪問型小売業、特に地域店ではシステムの中核に位置づけられているのがDBM(データベースマーケティング)システムです。地域店の主力商品・耐久消費財(主として家電品)は買替え主体の需要構造で、最近は商品の品質・機能の向上、消費者の省エネ・節約意識の高揚で買替えサイクルの長期化ということがあります。DBMは確実な買替え需要の発掘(売り逃しの防止)、提案機種の単価アップなど攻めの営業には不可欠な武器になっています。

DBMシステムを円滑に稼働させるためにはサブシステムが顧客情報管理システムです。すでに多くの顧客情報が収集・管理しているはずです。これも財産の一部として継承することになります。

営業活動で大切なのはDBMシステムですが、バックアップの役割を担っているのが顧客サービスシステムです。後継者が継承した会社(地域店)が消費者から支持を得ているのはこのサービスシステムが貢献してきたからです。後継者は継承しつつ、さらに充実させることが必要です。

その他にも日々の確実な経理処理のためのシステム、社員の業績評価のシステム、さらには店頭接客システム、商品発注システムなど枚挙に暇はありません。

※第3章では「継承する財産の棚卸し(評価)」を検討します。

(第2章 了)