2024年1月の重点活動 独自の「得意商品」の創造が24年の課題

2024年、明けましておめでとうございます。新しい年が地域店の皆様にとって最良のとしてなりますようお祈り申し上げます。

毎月20日前後に関連工業会から前月の家電品の国内出荷が発表されます。つい先日、11月分が発表されました。それによると23年11ヶ月間の出荷実績は台数で前年実績に達したのはヘアドライヤー1商品のみ、また金額面では僅かとはいえ前年実績を割るというショッキングな数値になりまし。12月の数値は未発表ですが「年末らしくない年末」(地域店の声)とやはり「不振」からの脱皮はできていないようです。

◆「構造変化」の直視が必要な2024年

Corona禍で苦しんだ2020から2022年の3年間でした。その中で22年は「価格改定」(値上げ)効果で売上台数ではダウンしたものの金額面ではアップを実現できた地域店が多かったのも事実です。経営は短期的には売上金額(粗利金額)は大切ですが、長期的には台数(商品を購入した客数)を見る必要があります。23年は台数ダウン加えて金額も、です。これが一時的なものなら経費を圧縮すれば乗り切ることは可能ですが、どうやらもっと長期的な底流ともいえる「構造的変化」が最大の要因です。

「コロナ禍の3年間あるいは23年を含めると(地域店にとり)4年間でもっとも変化したことは?」といった質問への正解は「顧客の平均年齢が3歳(4歳)上がった」ことです。家電品の世帯当りの購入金額は世帯主の年齢階級が「壮年」期に最も高くなり、以降は低下します。低下すると同時に「息子や娘の助言での量販店に需要を奪われる」傾向が強くなります。

◆既存商品のみでは上得意客の売上ダウンをカバーできない

これまで経営を支えてくれたのが顧客の20%程度を占める「上得意客」。Corona期頃からこの客層の顧客単価が傾向的に低下しています。いくら「地域店の顧客はおカネ持ち」といっても「家族数の減少」(単身化)=空き部屋の増加や家族内での「発言力の低下」、「社会負担の増加」といった「構造変化」による顧客単価の低下は不可避の面があります。

高齢者の需要が無くなった訳ではありません。(超)高齢化した消費者には高齢化したことによって「隠れた需要」(=潜在需要)が発生しています。しかし、その需要は「潜在需要」なので販売店の提案がなければ買うこと(=需要の顕在化)はありません。

ある中堅店の店主は「2024年の重点商品は玄関カメラを含む安全だ」と語っています。「工事が伴うので地域店にとってはいい商品だ」ということです。新築住宅では玄関カメラ(テレビドアホン)の設置は当たり前の時代、そして既築住宅を含めての普及率は60%程度と推定されます。ということは40%が映像なしのインターホン等となります。さらに設置済みの家庭でも録画機能、通信機能がない旧タイプものも多いのが実態です。

この例は「得意商品」一例ですが、他にもあるはずです。

◆「価値提案」とその裏付けになる関連情報の収集に努める

2024年の最初の仕事は今年の重点商品を決めることです。そのためにはまず昨年の「顧客別の粗利益額と売上高を把握します。上得意客の客単価の低下に気づくはずです。上得意客を上得意客として維持していくには既存家電品のみの提案ではムリです。必要なのは前掲の通り「得意商品」の取組み強化なのです。

新たな「得意商品」が決まったら「提案力」の向上に努めます。本稿でも度々触れていますがそのお客様に最適な「価値提案」です。単に「お勧め」だけでは購入に結び付けるのは困難です。同時に提案の背景の関連情報の収集も進めます。実際に店が立地している市町村での犯罪の発生数、その中で高齢世帯の割合、玄関関連など収集する意識と行動があれば情報はいくらでも集まるものです。

㈱コミュニティ・アドバンテージコミュニティ・アドバンテージ代表 妻木潔