2024年3月の活動指針 客数と客単価の変化に着目を‥

国内の家電品の出荷台数の推移を見ると依然として台数面では厳しい状態が続いています。今年1月の実数値では金額でも前年割れになっています。先月のこの稿では‥
・2月は顧客接点を拡大しつつも情報収集の幅の拡大
・(ニッパチといえども)損益分岐点売上高は死守し赤字経営は厳禁(顧客接点の強化)
‥ということを提案しました。3月も基本的にこのことを継続することになりますが、それと併行して一昨年と昨年の「客数と客単価」の実績分析を行うことをお奨めします。

◆コンビニは「商品戦略」で業績を回復・増進

全国のコンビニエンスストアは約5,500店(日本チェーンストア協会)で電気店数の約3~4倍に達しています。「コロナ禍の3年間」のうち最初の年(2020年)はコンビニも売上高では苦戦したのも事実です。「売上高=客数×客単価」の計算式に当てはめると客数の減少に陥った結果です。
そして「コロナ禍の2年目」以降になると売上高は回復することになります。回復の過程を上記の式に当てはめると客単価の向上に努めたことが明らかになっています。コンビニといえども客数を増やすのは一朝一夕には実現できないのも事実です。他の小売業・サービス業態の中でもコロナ禍は来店客数面でのダメージは小さいはずですが、コンビニでも例外ではありませんでした。

最近のコンビニのテレビコマーシャルを見ると「食品」の商品開発が注力していることに気付くはずです。いずれも旧来商品に比較すると価格も高くなっています。その他の要因もありますが、「コロナ禍の3年間」は主として客単価の向上で乗り切ったことになります。

その後、昨年辺りから客数の回復傾向が見られるようになった半面、客単価の低下傾向が見られるようになりました。これは高単価客が減ったのではなく、来店客数が増加した結果と推定されます。

◆稼働客数と稼働客単価、その増減要因を把握

上記のコンビニの業績回復からは「商品戦略」の重要性を学ぶことができます。客数の回復の結果、購入客のすそ野が拡大し客単価の低下は仕方ないことですが、今後はコロナ前の客単価までは下がらないはずです。その理由すでに「食品」での高単価商品の構成比が高くなっているからでず。客単価がある位置(金額)で下げ止まり、客数が元まで回復すれば売上高はコロナ前以上の金額に達するのは間違いありません。
地域家電店にお勧めしたいは一昨年と昨年の顧客分析を行い客数(稼働客数)と客単価の実態を見つめ直すことです。

◇一昨年と昨年の客数(稼働客数)の実態を把握する
◇一昨年と昨年の客単価を算出する(客単価=売上高÷稼働客数)
それらの数値を比較すると傾向値が見えてくるはずです。
◇稼働客数が減少(増加)している
◇客単価が低下(上昇)している
傾向値が見えたら内容分析に進みます。
最近の一般的な傾向はこれまでの「上得意客」の客単価が低下している地域家電店が多いことです。このことが業績不振店の多くで見られます。顧客分析を行うと、これまでもこの稿で触れてきた「二八の法則」(20%の顧客に80%の売上)が崩れつつあるのに気づきます。地域家電店の顧客は「おカネ持ち」の高齢者が多く、特に「上得意客」は「家電品を買えなくなった」のではなく「買う家電品がなくなった」のです。家族数減少による「空き部屋」の増加もその要因です。中には「上得意客の客単価は低下していない」地域家電店もあります。その多くは高付加価値商品(家電品)の提案や家電周辺商品、そしてリフォームなどに注力しているのです。

3月は先月からの顧客接点活動を強化、当月の損益分岐点売上高を確保するとともに客数・客単価分析を行い、反転攻勢の手掛かりをつかむことを心がけましょう。